セキュリティ会社のM&Aでは、株式を譲渡するのか、特定の事業を別法人へ移すのかで、契約・人員・認定や届出の確認事項が変わります。方式の名前を先に決めるより、「どの法人が、どの顧客に、誰を配置して、何の権限でサービスを続けるか」を整理することが出発点です。
株式譲渡と事業譲渡を比べる6つの観点
次の表は検討時の確認例です。個別の契約や行政手続を自動判定するものではありません。会社分割などを使う場合も、包括承継という言葉だけで認定・登録・契約上の手続が不要と判断せず、対象と必要な対応を確認します。
表は横にスクロールできます。
| 観点 | 株式譲渡で確認すること | 事業譲渡で確認すること |
|---|---|---|
| 営業する法人 | 株主が変わり、同じ法人が事業を続ける前提で、役員・名称・拠点・経営体制の変更を整理する。 | どの業務をどの法人が引継ぐかを特定する。譲渡企業に残る業務や契約との境界を決める。 |
| 顧客・委託先契約 | 支配関係変更等の条項、通知・承諾、解約・更新条件を確認する。同じ法人なら全て届出不要とは扱わない。 | 契約の移転、再契約、通知・承諾の要否を契約ごとに確認する。未確定の継続を売上見込みと混同しない。 |
| 雇用・責任者 | 会社の体制変更、勤務条件、主要人材の継続意向、説明担当と時期を整理する。 | 引継ぐ従業員・業務委託先を区分し、必要な合意・説明と新しい雇用・業務条件を確認する。 |
| 警備業の認定等 | 役員・営業所・指導教育責任者等の変更を所轄へ確認する。 | 譲受側の認定保有、営業所・業務区分・体制を示し、必要な認定申請や届出を所轄へ事前確認する。 |
| 資産・債務・貸与物 | 車両・機器、借入、保証、リース、顧客からの預かり物と未解決の責任を把握する。 | 売買対象、除外対象、所有者、担保やリース・返却条件、費用・責任の分担を明確にする。 |
| データ・利用権限 | 管理者の変更、顧客契約、利用目的、委託先、不要権限を終了する方法を確認する。 | 移すデータ・ソフトウェア等の利用権と契約上の制限を確認し、移行・保管・削除を計画する。 |
方式の検討前に、資料の所在をそろえる
まず、契約書、更新条件、資格者・責任者の体制、現場別の売上と費用、認定・届出、設備・保守台帳を一覧にします。資料が完全でなくても、所在、管理担当者、最新版の日付、不足点が分かる状態にします。
警備会社なら隊長・管制担当・指導教育責任者、設備会社なら保守契約・メーカーとの取引、SOC・MSSPならSLA・運用担当・データや権限が継続の要です。会社全体の利益だけでなく、「どの契約と体制が利益を生むか」を対応させると、移す範囲と残す範囲を比較できます。
警備業の手続は、株式譲渡か事業譲渡かという名称だけで決めません。警視庁は認定申請と、名称・役員・指導教育責任者等の変更様式を別に案内しています。所在地の所轄へ、法人・拠点・業務・責任者の変更内容を示して確認します。
契約実行までに確認することを逆算する
- 対象を決める:株式または事業の範囲、残る契約、資産・負債、継続を希望する人員を整理します。
- 確認先と担当を決める:顧客、従業員、金融機関、賃貸人、メーカー、所轄等のうち誰への確認が必要かを一覧にします。
- 実行条件を記録する:承諾・届出・契約更新などの完了状況と、残る条件を双方で確認します。必要な対応を成約後だけに先送りしません。
- 引継ぎを確認する:顧客への説明、現場の配置、連絡先、権限切替、貸与物の授受について、新旧担当者と完了確認者を決めます。
売却価格は、対象範囲、実態利益、資産・負債、必要な改善費用、雇用や取引先の継続条件も踏まえて協議します。資料の不足や未確定事項は隠さず、確認方法と担当を併記します。
秘密保持と説明の時期を設計する
初期は社名・顧客名・詳細所在地を伏せた概要から始め、NDA後も全ての情報を一度に出す必要はありません。閲覧者、利用目的、保管・返却・削除、交渉不成立時の措置を決めます。映像やログに個人情報が含まれる場合は、その扱いと元の委託契約も確認します。
従業員・資格者や顧客への説明は、いつまでも伏せることを目的にせず、必要な協議と現場の継続を両立できるよう計画します。誰が説明するか、質問窓口、変わる条件と維持する条件を整理します。
業種別の確認と相談先
当センターが譲渡企業様から受け取る手数料は、成功報酬まで0円です。セキュリティ会社のM&A相談案内をご覧いただき、必要な資料と開示範囲からご相談ください。相談の入口はお問い合わせ窓口です。
参考資料:警視庁の認定申請案内、変更等の申請様式、個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)。掲載内容は一般的な準備の整理であり、個別の契約・税務・雇用・行政手続は関係先や専門家へ確認します。
本文と参考資料の確認:2026年9月7日/編集:株式会社M&A Do
運営: 株式会社M&A Do / 秘密保持徹底